特殊清掃作業の流れと業者を選ぶときの重要なポイント！...

家族の誰かが亡くなったときに後に残された部屋の清掃作業をしなければいけません。
部屋の清掃作業は匂いや汚れが普通とは違うので特殊清掃という作業が必要になります。
今回は、特殊清掃作業を依頼する業者はどのようなことに注意して探せばいいのか、依頼時に特殊清掃だけではなく、ほかに一緒に任せればよい作業などを紹介します。

特殊清掃って何？

人が亡くなっていた場所など、原状回復を行うのに必要な専門的な作業を特殊清掃と言います。
事件現場や自殺、孤独死で亡くなってから発見が遅れたときなど人の死後、部屋には血液や体液、臭いがすぐに充満します。
検死のため遺体そのものは警察によって運び出されていますが、部屋や家具などはそのままの状態です。
そのような部屋の臭いや染みは市販の洗浄剤などでは簡単には消せません。
人が亡くなっていない場合でも、ゴミ屋敷で生ゴミが溜まっている家などの場合も一般的な掃除では元通りにはなりません。
血・体液・死臭・害虫を伴うような部屋で特殊清掃作業員が消臭・除菌作業を行います。

ここからは、特殊清掃業者に清掃業務を依頼するときの流れや業者が行う作業の流れについて説明します。

孤独死が判明してからやるべきこと

孤独死が分かった場合、まず事件性の有無を判断するために警察に連絡する必要があります。
速やかに警察に連絡して検視してもらいましょう。
この手続きをなぜ急がなければいけないのかは、警察からの許可が下りるまでは現場をそのままにしておかなければいけません。
この間も遺体の劣化は進み、部屋の汚損も深刻になる一方です。
同時に、孤独死が判明した現場が賃貸物件のときは、大家と管理会社にも連絡しましょう。
今後の特殊清掃の流れやリフォームの期間について話し合わなければいけません。
ここまでの事前準備が終了した段階で、特殊清掃業者に連絡します。
管理会社や大家の繋がりがある特殊清掃業者にそのまま依頼するのも悪くはないのですが、可能であればいくつかの特殊清掃業者に対して自分で連絡して、費用面や作業工程などを相談してください。
もちろん、電話で簡単な見積もりを出してもらうのではなく、実際に現場を見てもらってから判断を仰ぎましょう。
複数の業者を比較したうえで、最も信頼できそうな業者と契約を交わせば、あとは特殊清掃業者に作業を任せるだけです。

特殊清掃で行う作業

特殊清掃業者がやるべき一番の目的とは、現場の原状回復です。
現場内のあらゆる汚損を取り除きます。
例えば、フローリングに体液などが染みついている場合には、全て解体した上で新しい床材を張り替えることもあります。
害虫が発生している場合は、これらを駆除します。
感染症に関連した細菌が増殖している可能性もあるので、現場内の除菌作業も行われます。
さらに、現場内の悪臭が酷い場合は、清掃業務終了から2，3日をかけて消臭装置を働かせることもあります。
そして、実は特殊清掃業者には、ここまで説明した現場の清掃以外にもやるべき作業があります。
その一つに、遺品整理があります。
確かに、孤独死の現場はいろいろな汚損箇所があるので、汚損箇所の修繕が主たる業務であることに変わりありません。
ただ、故人の大切にしていたものや遺すべき遺品なども現場にはあります。
したがって、優良な特殊清掃業者は、依頼者の意思を尊重しながら適宜相談する形で、遺品整理業務も同時に進行します。

業者に特殊清掃を依頼すれば、基本的な清掃はしてもらえます。
しかし、清掃作業だけでは落ちない汚れや、整理できない遺品があることも少なくありません。
そのため孤独死などが起きた部屋は、清掃に加えて次のサービスを業者に依頼して綺麗にしましょう。

ハウスクリーニング

部屋の基本的な清掃・脱臭に加えハウスクリーニングを行えば、快適に住める状態まで部屋が回復します。
ハウスクリーニングの詳しい内容は業者によって違いますが、サービスを受けることできます。
賃貸の部屋など今後も特殊清掃を行った部屋に人が住むとき、ハウスクリーニングを行って環境を良くしましょう。

遺品整理

遺品の整理を専門家に依頼することで、必要なものと必要でないものを分別し部屋を綺麗に片付けられます。
孤独死や事件・自殺が合った部屋では、亡くなった人の遺品がそのまま残っている場合が多いです。
遺品の整理は遺族だけでできますが、遺品の量が多い場合は片付けるのに数日かかることもあります。
片付けの手間を省くには、遺品整理と特殊清掃をまとめて1つの業者に依頼する必要があります。
複数業者に依頼すると、日程の調整をしなくてはならないこともあるので、まとめて依頼できると手間を減らし時短にもつながります。
身近な人を亡くしたショックが大きな人は、遺品整理を専門業者に任せて心身を休める時間を確保することを優先してみてください。

遺品供養

業者次第では、遺品の整理だけでなく遺品供養をセットで行ってくれることもあります。
遺品の供養とは、基本的に合同の焚き上げで行います。
大切な遺品をそのまま捨てるのに抵抗があるという人は遺品供養も業者に任せましょう。

不用品処分

遺品整理で出てきた不用品を、業者に処分してもらうこともできます。
例えば、孤独死などが起きた現場には、遺品以外にゴミや不用品が大量にあり処分に困ることがあります。
自力で捨てることも可能ですが、量が多いと短期間で不用品を処分するのは難しいです。
そのため、不用品回収もなるべくまとめて業者に依頼しましょう。
ただし、不用品を処分できる業者は限られていて、処分してもらえるか事前に確認しましょう。
ですが、専門の業者を利用し原状回復するチャンスなので、必要に応じて依頼しましょう。
次は、特殊清掃の具体的な事例を通して詳しい特殊清掃の内容を確認していきます。

まずは、特殊清掃の費用や作業内容について説明します。
孤独死は案件の状況ごとに特殊清掃として必要とされる作業が違うために、状況に応じて特殊清掃の値段を考える必要があります。

孤独死が判明するまでの期間

特殊清掃の値段は、一般的には亡くなってから遺体が発見されるまでの期間によって変動します。
亡くなってから発見されるまでの期間が短いほど特殊清掃の価格は低くなり、逆に期間が長いほど特殊清掃の費用は高くなります。
このような相関関係が起きるのは、遺体の腐敗の進行具合が一番の原因です。
人が誰にも看取られずに亡くなり、そのまま放置されていると、時間の経過と共に遺体が腐敗します。
放置される期間が長いほど腐敗の進行具合も大きくなるために、臭い・害虫・現場の汚損具合も酷くなります。
つまり、それだけ特殊清掃の作業量が増えるために、費用が多額になります。
逆に、亡くなってからすぐに孤独死が判明したときは、遺体の腐敗がまったく進行していないということもあります。
この場合、現場の清掃作業がほとんど必要ないのであれば、特殊清掃の値段はかなり低額になります。

孤独死が発生した時期

特殊清掃の価格は、孤独死が発生した時期でも変わります。
一般的に、暑い季節ほど特殊清掃の費用は高くなり、寒い季節ほど特殊清掃の価格は安くなるという関係です。
日本には四季があるために、夏の孤独死の特殊清掃費用が高く、冬の特殊清掃費用が低くなります。
このような相関関係の理由は、もちろん気候によって遺体の腐敗進行状況が変わるからです。
気温が高いときに遺体が放置されていると腐敗の進行具合は速くなります。
したがって、亡くなってから孤独死が判明するまでの期間が同じだったとしても、気温や気候によって汚損レベルが大きく変わるために、特殊清掃費用も変わります。
ただし、季節だけで特殊清掃価格が決定されるのではありません。
遺体が放置されている現場の室温も価格に影響する重要な要素です。
例えば、ある酷暑の夏の日に亡くなった場合でも現場室内がエアコンで18℃に保たれていれば、外気に晒されるよりも遺体の腐敗進行ペースは緩やかになります。
逆に、冬の寒い日に室内がかなり暖められている状況で孤独死が発生した場合は、一般的な冬場の特殊清掃価格よりも多額の費用がかかるでしょう。

特殊清掃の相場はあるの？

特殊清掃の値段に相場はありません。
この理由には2つあります。
それは、特殊清掃業者ごとに設定している料金体系が大きく変わること、そして、孤独死の現場ごとに必要な特殊清掃業務が違うことです。
現場ごとに必要な清掃業務が変わるうえに、当該清掃業務に関する料金設定が特殊清掃業者ごとに違うので、特殊清掃費用の相場を適示することがとても難しいです。
まず、特殊清掃業者ごとに料金体系が違う点について説明します。
例えば、部屋の間取りや配置する人員数によって費用を決定する業者や、特殊清掃作業を必要する日数をパック料金で設定している業者、必要な作業ごとに一工程ずつ費用をカウントする業者など、実に様々です。
したがって、どの特殊清掃業者に依頼するかによって支払う価格も大きく違います。
次に、孤独死の現場ごとに必要な特殊清掃業務が違う点について説明します。
孤独死してからはじまる遺体の腐敗は、いろいろな要因でスピードが変わります。
先述のように季節や発見までの期間だけではなく、室内の空調状況や直射日光を浴びているかどうか、室内のどこで亡くなっているのか、あるいは、亡くなった方の体型にも左右されます。
仮に、同じ時期、同じ環境下で亡くなった二人の方がいたとして、この二人を比較しても腐敗の進行具合や室内の汚損状況に違いが起きます。
ここまでのことより、特殊清掃費用の一般的な相場を指摘することは不可能なのです。

特殊清掃業者を選ぶときに考えること

特殊清掃に費用相場がないということは、標準価格を参考にして業者は選択できません。
さらに、いくつかの業者に見積もりを出した結果、費用面だけに注目して安い特殊清掃業者を選ぶということはやめたほうがよいでしょう。
なぜなら、極端に価格が安い業者に依頼すると、充分な清掃作業が行われず、再度別の特殊清掃業者に依頼しなければいけない事例もあります。
特殊清掃業者を選ぶときに考えるべきことは、どの業者なら安心して清掃業務を依頼できるかという点だけです。
特殊清掃では、現場を丁寧に清掃し、いかに完璧に原状回復できるかが重要なポイントです。
極端に費用が安い業者や、事前にパック料金などで価格面での明朗さを客寄せの全面に打ち出しているのではなく、どのような作業工程を踏めば現場の特殊清掃を完遂できるかを利用者に明示している業者だからこそ信頼して清掃業務を依頼できるでしょう。
孤独死の現場ごとに状況が違う以上、臨機応変な清掃業務の対応が求められるものです。
それにもかかわらず、最初から実施すべき業務内容など決定できるはずがありません。
現場を見て、清掃業務を重ねながら、原状回復のために必要な作業は見出されるのです。
したがって、特殊清掃業者を選ぶときには、利用者に対して丁寧に作業工程を説明してくれるような信頼できる業者を選びましょう。

故人の残された部屋の清掃作業を特殊清掃業者へ依頼して行ってもらいますが、その時に一緒に依頼すると便利な作業には何があるのか、同じような状況で亡くなっていてもその時の条件次第では費用や清掃時間などが大きく変わることについても詳しく紹介してきました。
ここで紹介している情報で状況に合わせた費用相場を学びベストな特殊清掃業者選びを行いましょう。