特殊清掃業者とは？特殊清掃作業の流れは？...

特殊清掃という言葉は近年知っている人は増えてきています。
ただ、その仕事内容を具体的に知っている人はまだ少ないのです。
そこで、今回、特殊清掃とはどういう仕事をするもので、どのような手順で行われるのかを紹介します。
今まで特殊清掃という言葉しか知らかった人はここで勉強しましょう。

ここでは、特殊清掃とはどういうもので、どのような現場で作業するのかを具体的に紹介します。

特殊清掃とはどういった仕事？

特殊清掃という言葉、近年の高齢化社会を背景に孤独死の数が上昇し認知度が高くなってきました。
テレビやYouTubeの動画などで知った人もいるでしょう。
特殊清掃の仕事をなんとなく理解している方もいると思いますが、人間の死というナイーブな部分と連動しているのでその実際の仕事内容については明らかにされていません。

部屋の原状回復
特殊清掃という仕事の中で、重要なのはアパート・ハイツ・団地住宅・マンションあるいは一戸建の部屋の原状回復です。
原状回復とは住宅用語でよく使われて、賃貸住宅を退去するときに、入居時の状態に部屋を戻すことです。
原則として経年変化や通常の生活による磨耗は貸主側の負担で、借主の故意・過失によって汚損・損壊したものがあれば、その修理費を請求されます。
ようするに賃貸であれ、持ち家であれ入居時の状態に部屋を戻すことです。
孤独死などで死亡してから発見までが遅れ遺体が腐敗すると、部屋の惨状は害虫や悪臭で凄まじいものになっているはずです。
遺体の搬出は警察が行ってくれますが、遺体を搬出した後でも悪臭、汚染物、害虫などは残っている状態のままなので特殊清掃が必要不可欠です。
死臭は世界で一番の悪臭だと言われていて、これらを普通に清掃しただけでは、床や壁・天井にしみこんでしまった汚れや臭いは絶対にとれないので、専門的な知識と技術が必要です。

遺品整理
特殊清掃業者は、遺品整理も行っている会社が多く、別料金で遺品整理も請け負ってくれます。
特殊清掃現場では遺品にも臭いが付着しているので、特殊清掃と同時に遺品整理も行わないと悪臭がいつまでも残ることがあるので、この２つをセットで依頼することを強くおすすめします。
セットで依頼することで割引をしている業者もやってくれるので相談するのもいいでしょう。
孤独死現場は凄惨なため遺族や関係者が立ち入ることが難しいときでも、遺品整理を依頼しておけば特殊清掃業者が貴重品や思い出の品をはじめ、遺品を仕分けしてくれます。
さらにリサイクルできるものは買取りしている特殊清掃業者もいます。
遺品に臭いが染み込み買取りが難しいものも、業者が処分まで一括で請け負ってくれます。

不用品・粗大ごみの処分
家電リサイクル料の掛かる冷蔵庫・テレビ・洗濯機・エアコンをはじめとする、処分するのにも費用が必要な大型の不用品・粗大ごみの処分も特殊清掃業者に依頼できます。
特に高齢者の孤独死の場合、物の処分ができないで不用品が多くなっていることもありますが、大型の不用品・粗大ごみが大量にあるとその分処分料が増加して特殊清掃全体の料金が割り増しになるのが一般的です。
業者によって特殊清掃はお客の負担が大きいので、家電リサイクル料を割り引いてくれる優良な業者もあります。

特殊清掃が必要なケース

今の時代インターネットがあるので「大阪　特殊清掃」などと検索すれば特殊清掃を業者に依頼するのは簡単にできますが、費用が普通のハウスクリーニングに比べ高額になる為、自分たち遺族で後片付けを行いたいと考える人もいると思います。
しかし、素人がうかつに特殊清掃の現場で作業するには危険すぎます。
特殊清掃の業者に依頼した方がよいケースとはどのような場合なのか、どうして特殊清掃が必要なのか説明します。

孤独死現場は特殊清掃が必要
事故や事件、自殺・病死に関係なく、遺体発見が遅れてしまった孤独死現場の場合は特殊清掃が必要になります。
事件性がなければ特殊清掃を依頼しなくてもいいのでは？と思うかもしれませんが、死亡から遺体発見まで、夏であれば2日、冬でも1週間程度で腐敗が進み死臭が漂い初めます。
臭いは近所迷惑になり、苦情や噂が立ち物件の損失にもなりかねないので緊急に対処する必要があります。
そこまで汚れていないような部屋でもどこに危険なウイルスが潜んでいるか分かりません、片付けていくと布団や床を通り越して床下まで体液が染み込んでいることもあり、そうなると特殊清掃のプロ以外に正しい処置ができる人はいません。
死亡から遺体発見まで数日から1週間以上経過している、害虫が発生してしまっている場合も発見が遅れた証拠なので、迷わず特殊清掃業者に依頼した方が良いでしょう。

事件性がある場合
自殺・事件のように、死亡後も警察が介入する場合は、始めから特殊清掃業者に依頼した方が無難でしょう。
身内が遺体で発見されたというだけでも、遺族の心理的ダメージは大きなものですし、自殺や事件などの場合はなおさらその現場で作業するというのは、精神的にとても辛いことでしょう。
遺品整理をしていてもとても辛い思いをしますし、作業の手も止まってしまうこともあります。
すぐに遺体が発見されて衛生状態や悪臭もそこまで発生していないというケースでも、特殊清掃業者に依頼した方が遺族の精神的負担を減らせます。

ゴミ屋敷・汚部屋での孤独死
ゴミ屋敷では、遺体がゴミに埋もれて発見されたというケースもあります。
ゴミ屋敷問題は度々メディアにも取りざたされている社会問題で、景観を損ねたり、臭いの問題などで近所の迷惑となっていますが、ゴミ屋敷の持ち主の死後は膨大なゴミの処分問題が発生します。
建物の天井までゴミが詰まっていて、公道まではみ出す膨大なゴミ、元は何だったのかさえ分からないゴミの塊、時には汚物まで、到底素人では手に負えません。
全てが不用品であっても、現在は殆どの自治体はゴミの分別が非常に厳しく整理し分別、処分となると膨大な時間が掛かるので特殊清掃業者に依頼した方が素早く確実にゴミ屋敷を片付けられます。
ただし、いくら片付け特殊清掃のプロだからといっても、ゴミ屋敷ではそのゴミの多さから、普通であれば半日で終わる特殊清掃の仕事でも1週間以上かかることがあります。
そうすると、人件費やゴミの処分費などでトータル費用はかなり高額になるため、特殊清掃を依頼する時には多額の費用を用意しなければいけません。

火災現場
不慮の火災によって死亡した場合でも、火災現場にも対応している特殊清掃業者なら清掃を依頼することができます。
火災現場に対応している業者はそこまで数が多くないのですが、インターネットを駆使すれば必ず見つかります。
火災現場では、いくら消臭しても独特の火災臭が残るため、近隣へ悪臭被害が及ぶことがあります。
火災による煤を払い、燃えてしまったカスの片付け、脱臭なども専門の特殊清掃業者なら的確に行えますので覚えておくといいでしょう。

死亡した後に残された部屋の清掃をするのに、特殊清掃業者が作業するときの作業手順について紹介します。

問い合わせ

遺族・相続人・大家・不動産会社などからは、異臭がひどく近所迷惑になるので取り除いてほしい・室内に残っている体液を取り除いてほしいといった緊急性の高い作業のお問合せをいただきます。

見積もり

現場へ出向きお部屋などを拝見し、見積もりを提出します。
依頼者が部屋に入れない状況では初期消臭作業を行い、短時間で入居可できるようになります。

消毒剤の噴霧

感染症等の防止のため、特殊清掃・遺品整理作業の前に二酸化塩素を噴霧します。
二酸化塩素は強力な殺菌効果があります。
また消臭にも効果的です。
人が亡くなられた室内の消臭は通常の空気清浄機や芳香剤等では効果がありません。

遺品整理

特殊清掃の現場での家具や家財には腐敗臭も染み付いています。
それらの中から貴重品や遺品の品を探し出します。
必要のない家具や家財は適切に分別し処分します。
作業現場の状況に応じて特殊清掃・殺菌から行うことも、同時進行で行うこともあります。

特殊清掃・殺菌

亡くなってから発見までの時間が長いほど、また夏場などの気温の高い環境では遺体は腐敗し体液が身体から流れ出し床・畳・場合によっては階下・床下まで達しています。
このように汚染された箇所を特殊な薬剤で清掃・殺菌・消臭業を行います。

汚染箇所の解体・処置

体液による汚染が、床下・階下にまでに及んでいる場合は汚染箇所を解体・清掃・殺菌・消臭作業を行います。
解体・処置をすることでリフォーム作業が必要になります。
ネクストライフではリフォーム会社と連携して臭いを完全に除去できるよう入念にチェックします。

オゾン消臭・脱臭

遺品整理作業・特殊清掃作業が終了したら室内の消臭を徹底的に行います。
ネクストライフでは臭いの元を分解して消臭するオゾン消臭器を使った消臭作業を行います。
遺体の腐敗による臭いは普通の消臭剤や空気清浄機では脱臭は出来ません。

実際に特殊清掃がどのような場面でどういった作業を行うのか、パターンによる作業内容の流れを紹介するので参考にして下さい。

孤独死の特殊清掃

まずは孤独死の特殊清掃ですが、遺体を発見したら始めに警察へ連絡します。
警察による遺体搬出後、特殊清掃業者へ連絡して作業内容の確認と見積もりを取りましょう。
見積もりが出てきたら特殊清掃業者を選定・契約し、清掃日を決めて、業者による清掃が始まります。

害虫の駆除
特殊清掃では、最初に害虫の駆除が行われます。
最初に害虫駆除をするのは害虫による感染症や汚染の拡大を防ぎ、近隣住民への影響を最小限に抑える為です。
特殊清掃作業が数日に及ぶときは、更に何度か害虫の駆除が必要になることもあります。

家財道具の搬出
全ての家財家具を搬出し、居室内の物をすべて取り除きます。
こうすれば、床や壁、天井がむき出しになる為、徹底したクリーニングが必要な箇所やリフォームが必要な部分がはっきりします。
遺品整理を依頼している場合は、この際に遺品の整理も同時に行われます。
必要な遺品と不必要なもの、買取りできるものを分け、処分してもらいたいものはまとめて業者に処分してもらいましょう。
遺品の買取りも行っている業者であれば、買取りもしてもらえます。

床・壁の清掃
悪臭の元となる体液や汚物などを徹底的に清掃します。
このときに消臭・消毒も行って、何度も悪臭が残っていないか特殊清掃員が実際に鼻で確認して、臭いがなくなるまで消臭を繰り返します。

居室内のクリーニング作業
特殊清掃員は、居室内を隅々までクリーニングしてくれます。
天井にある埃まできれいにして、最後にもう一度全体を消臭・消毒して特殊清掃作業の終了です。

自死の特殊清掃

アパートやマンションでの自死した場合、警察へ連絡するのと遺体搬出が終わった後はアパート・マンションの管理会社と話し合わなければいけません。
遺族がどこまで部屋を回復させなければいけないのか、しっかりと管理会社と話し合って、齟齬のないようにしておきましょう。
後で賠償問題などが起きないように、大家が個人の場合は弁護士などの第三者を挟んでの話し合いをしておくと安心できます。
清掃の流れは孤独死と同じですが、管理会社から悪臭が今後出ないように対処してくださいなど特殊清掃について細かい要望があれば、それを確実に叶えなければいけません。

火災現場の特殊清掃

火災現場の特殊清掃は、警察や消防による実況見分や処理が終わった後に行います。
火災現場では他の特殊清掃のパターンとは違って、有害物質が燃えた独特の臭い、煤や灰の飛び散りなどが近隣住民へ悪影響にならないように最大限配慮して特殊清掃が行われます。
燃えたものの搬出、煤払い、強力な消臭、遺品整理、居室のリフォームまで一括して特殊清掃業者に依頼できます。

特殊清掃の料金・費用相場

特殊清掃を業者に依頼することになったときの、料金・費用相場はいくらなのでしょうか？ここからは特殊清掃業者を依頼した場合の費用の相場、料金が割り増し・割り引きになるポイント、見積もり書を確認するときの注意点について説明します。

特殊清掃も、最低金額で納まる範囲内の場合は意外と低価格であることがわかりましたが、逆に特殊清掃の料金が割り増しになり特殊清掃業務全体で多くの費用が請求されることもあります。
特殊清掃の料金が割り増しになるのはどんな場合なのか、そのポイントについて詳しく説明します。

処分する不用品が多い

特殊清掃を行う居室に処分する不用品が極端に多いとき、その費用は割り増しになります。
これは不用品の処分には処分費がかかること、不用品を運ぶための運搬費用もその分多くなるためです。
なるべく費用をかけたくない場合は、自分たちで出来る範囲で不用品を処分する方法も考えられますが、現実的には特殊清掃業者にすべて依頼することになるでしょう。
生活していた中ででた不用品は分別しなければ処分できないものが多く、遺族だけの手では処分しきれないのが現状です。
業者によっては不用品の処分料金が解り易いように、トラック一台分積み放題でいくらという料金体系をとっているものもあるので、余りにも不用品が多い場合はこういう業者へ依頼すると余分な費用を取られる心配がありません。

特殊清掃にかかる日数

特殊清掃にかかる日数は、居室の状態がさほど悪くなく、不用品も少ない場合はワンルームなら半日程度で終了することもあります。
しかし、体液等の悪臭がある汚れが染み込んでなかなか取れない、1度の消臭では臭いが消えないと場合は特殊清掃にかかる日数が多くなることが考えられます。
特殊清掃の中で一番高い費用は人件費です。
特殊清掃では作業日数が増えるごとに単純に人件費も比例して増えますから、特殊清掃終了までにかかる期間は直接費用に響きます。

特殊清掃にリフォームを含む

特殊清掃にリフォーム工事が含まれる場合、その費用はとても高くなります。
床や壁を取り換えるだけでなく、床を?いで床下に染み込んだ汚れの清掃・消臭・除菌などが含まれるとさらに費用が嵩みます。
また、床や壁を取り換える面積が大きいほど、費用も高額になるでしょう。
特にリフォームが必要なのは、浴室など水廻りに特殊清掃が入るときです。
浴室の汚れが酷い時にはバスルームもリフォームされます。

コンクリート部分の特殊清

コンクリート部分の特殊清掃も費用が高くなるポイントです。
マンションでは床下を突き抜けてコンクリート内部まで汚れが到達していたり、一戸建てでは基礎まで汚れが到達していることもよくあります。
そのまま清掃・消臭し汚れが消えればいいのですが、コンクリートは消臭が難しく、少しの汚れと臭いでもプロの業者でなければ完全に消せない部分です。
コンクリートに体液が染みこんでしまっている場合は、徹底的に消毒・清掃した後に臭いが出ないようにコーティング剤が数度塗布されます。
このように一般的な床よりもコンクリート部分の清掃は手間がかかる為、費用が割り増しになる傾向があります。

その他の特殊清掃オプション

特殊清掃業者の中には、故人の供養、葬儀会社の紹介、家の解体や車の廃車手続きなど、いろいろな業務を請け負ってくれる便利屋のような業者もあります。
故人と遺族の距離が物理的に離れていて、手続きが困難な場合はこのような特殊清掃業者のサービスはとても助かります。
とは言っても、特殊清掃にまつわるいろいろな困りごとに対応してくれる業者はとても心強いのですが、すべてオプションなのでそれぞれに料金が発生します。

特殊清掃とはどういう仕事なのか、人がなかなかできないような現場の清掃作業をするということを、いろいろな現場を例に挙げて紹介してきました。
そして、特殊清掃作業の具体的な流れについても分かりやすく説明してきました。
そんな特殊清掃作業を依頼するときは、どのような作業を依頼するかによってかかる料金が大きく変わるということが分かったのではないでしょうか。
今まさに特殊清掃が必要な人は、こちらの情報を読んでから勉強しておけば、できるだけ安く希望通りの作業を行ってくれる業者を見つけるのに役立つことでしょう。