孤独死で亡くなった後の特殊清掃現場では素人が清掃作業を行うのはできるものではありません。
いろいろな状況があり、どのような状況になっているのかがわからないからと感染症などの危険性もあるからです。
そこで特殊清掃業者へ依頼することになりますが、その場合、依頼先業者選びでは慎重にしなければいけません。
現在の孤独死の現状、孤独死をした後の部屋の清掃作業はどうすべきかなどを詳しく紹介します。
孤独死の現状

近年孤独死が増えていますが、そんな孤独死の現状を見てみましょう。
◇孤独死とは
孤独死とは、地域社会から孤立した人が、医師や家族など周囲のだれにも看取られずに死亡することです。
適切な治療や食事などを行っていれば助かった可能性があります。
死後自宅などで長期にわたって発見されない、地方よりも地域社会との関係が希薄な都市部で多い、などの特徴があります。
明確な定義がされていないため、孤独死者数の具体的統計はありません。
核家族化の進展に伴って1970年代から孤独死ということばはありましたが、2000年代以降、日本社会の高齢化、地域コミュニティの崩壊、長引く不況による離職・失業者増、高齢者に対する社会保障の不備などが重なってから増加しています。
孤独死を発見して親族に連絡をするまで
人が孤独死した場合、すぐに相続人に連絡が来るわけではありません。
そもそも死後、数日間発見されないことがよくあります。
第一発見者が大家や近隣住人でも、誰が相続人かわからないケースが多く、最終的には連帯保証人に親族関係を聞いたり警察に相談したりして、相続人を突き止めるために時間がかかります。
誰が相続人かわかり、ようやく関係者から相続人に連絡がいきます。
どうしても相続人が見つからない場合、兄弟姉妹などの別の親族に連絡が来て対応を求められることもあります。
孤独死の後始末

孤独死をしたときの後始末には何をすべきかを見てみましょう。
◇遺体を確認する
比較的早期の段階で相続人に連絡があった場合、遺体の確認を求められる可能性があります。
死亡した親族と長年会っていない場合や死後数日が経過していると、生前の印象とは異なり、動揺される相続人の方も多いです。
◇死亡届の提出と葬儀
死亡診断書や死体検案書を受け取ったら、役所へ持参して死亡届を出しましょう。
死亡届は死亡後7日以内に提出しなければなりません。
孤独死の場合、死後数日が経過してから連絡を受けることも多く、死亡診断書を書いてくれる医師を探すのに苦労するケースもあります。
できるだけ早く対応しましょう。
死亡届を出したら火葬と葬儀を行います。
◇故人の残された部屋の特殊清掃
孤独死しときは部屋の清掃をしなければいけません。
ただ清掃のときは細菌感染する恐れもあるし、消臭や消毒なども行わなければいけないため、相続人が自分で対応するのは難しいでしょう。
通常は特殊清掃業者を手配することになります。
特殊清掃業者は専門の装備を備えた上で特殊な薬剤などを使って消臭、消毒、清掃を行います。
◇賃貸住宅の場合は、後処理
亡くなった方が賃貸住宅に住んでいた場合、賃貸借契約の清算もしなければいけません。
滞納家賃があれば、相続人にも法的な支払い義務がでてきます。
ただし、保証会社や連帯保証人がついていれば、支払ってもらえる可能性があります。
原状回復については、特殊清掃業者に依頼して清掃してから明け渡しになります。
大家がフルリフォームを希望するときは、費用については基本的に相続人が負担しなくても良いのです。
◇遺品を受け取る
部屋の中に遺品が残っていた場合、物件を明け渡さなければいけないので、そのままにしておけません。
持ち帰って遺品整理をしましょう。
◇相続手続き
相続放棄をしないで遺産を受け取るのなら、引き続いて相続手続きを進めなければいけません。
相続人調査、相続財産調査を行って、相続人が複数いるのであれば遺産分割協議をしなければいけません。
遺産分割の方法が決まったら、速やかに名義変更などの相続手続きを行いましょう。
◇相続放棄をすることもある
もし亡くなった方に借金、滞納家賃や滞納税などの負債があった場合相続したくないというときは、相続放棄を検討しましょう。
相続放棄をすれば、負債も資産も一切相続しないで済みます。
ただし、預貯金や動産などの遺産を少しでも受け取ったり処分したりしてしまうと、相続放棄はできません。
相続放棄できるのは3ヶ月と決まっているので、できるだけ早めに対応しましょう。
特殊清掃現場へ入室時の服装や特殊清掃を行うときに必要な道具

特殊清掃現場への入室時に必要な道具や装備について紹介します。
◇特殊清掃現場へ入室時の服装は
手袋
厚手の手袋がベストです。
しかし、防護性が高いのですが、物をつかみにくい為、キッチンの食器洗い用は便利です。
より安全性を高めるために、薄手のゴム手袋の上に厚手のゴム手袋を重ね手使うと安心です。
ホームセンターの園芸コーナーなどに行くと、見つかるでしょう。
防護服
感染症などを考えると、肌を絶対に出さないのは重要なことです。
その為に防護服の着用は必須です。
安い使い捨ての物もありますが、不安な方はヤッケや雨合羽などを使うのも良いでしょう。
これは入室のときの最低限やらなければいけない装備です。
これでもまだ、臭いは髪の毛・体や服に沁みます。
服は後で捨てても良い服で入室して着替えて帰るのが一番です。
ホテルのアメニティなどでよく見かけるシャワーキャップが便利です。
特に女性の方は長髪の方も多いので、臭いが染みつくと大変なことになります。
こうしたものもすぐに用意できる状況ならば、あると便利です。
100円ショップなどにも売っています。
孤独死現場に立ち入るだけでも、大変危険なことです。
前述の装備を着用するだけでも、汗が噴き出るほど暑いと思います。
長靴
もし体液などを踏んだときに、その靴のまま外を回ると、体液を周りに広げてしまい2次被害が発生します。
入室用の靴とは分けておく事が良いでしょう。
この際の長靴は使い捨てのつもりで用意しましょう。
マスク
紙マスクは安く手に入りますが、孤独死の腐乱臭には全く意味がありません。
臭いが気になる方は、プロ用の防護マスクを着用する事をおすすめします。
夏場であれば間違いなく防護マスクヲ使いましょう。
防護マスクは、見た目はそっくりですが、防塵マスクと防毒マスクの2種類があります。
衛生状態の悪化した室内には防毒マスクを選びましょう。
◇特殊清掃現場の特殊清掃を行うときに必要な道具
孤独死の処理に必要な清掃道具です。
ここではプロ仕様の物を使うのではなく、どこでも手に入る安価な物や代用品を紹介します。
手袋
破れやすいのが薄手のごみ袋です。
また孤独死の激烈な臭気を外に漏らす可能性があります。
その為に厚手のゴミ袋が望ましいです。
またサイズにもこだわって小さい物でなく、極力大きい方が作業はスムーズに進みます。
70?以上の容量のゴミ袋だと使い勝手が良いでしょう。
0.04mmの厚さのものを準備できると安心です。
万が一薄手の物しか準備できなかった、という場合は、ゴミ袋にパンパンに詰めすぎないように気を付けたうえで、二重三重に重ねて梱包する等の工夫も必要です。
消毒液
消毒剤の定番は次亜塩素酸が一般的です。
もっと強力な安定化二酸化塩素もありますが、扱いが非常に難しいです。
通販などで次亜塩素酸は簡単に手に入ります。
しかしPPM数が違うので気を付けてください。
濃度が高ければ高いほど危険性も高くなるので100~200PPMが使用しやすいでしょう。
プロ仕様の場合、1000PPMというものもありますが、あまりおすすめできません。
急ぎでどうしても欲しいという時は赤ちゃん用のミルトンを使うこともできます。
洗剤
プロは各社ごとに様々な薬品を使って分解させますが、キッチン用洗剤などが代用品として油汚れに強く有効があります。
乾いた布
布は大量に買う事をおすすめしますが、最大で1キロ分程度あれば十分足ります。
これは、体液を拭き取る時に使います。
その為雑巾では小さすぎるのです。
ウエスもタオル生地や洋服の切れ端のセットを使うと吸い込みが良く作業効率が上がります。
新品の雑巾やタオルだと吸水性があまりよくありません。
準備に余裕がある際は、使い古したタオルなどを持参すると便利です。
体液は油分が多く、水分をふき取るのとは勝手が違います。
作業性の高いものを選ぶようにしてください。
スポンジ
あまり固い物を使うと床を傷つけてしまう事もあるので、普通の物が良いです。
実際には何回も洗うので、複数個購入しておくことをおすすめします。
足りないよりは余るくらいの準備で臨むことをおすすめします。
特殊清掃現場を業者へ依頼したときの費用相場

特殊清掃現場の清掃作業にかかる費用を、実際の実例に沿って紹介します。
◇マンション7階・死後1週間で発見された現場
作業人件費は40,000円(2名)、オゾン脱臭作業(3日間)で50,000円、消毒剤の散布(複合型二酸化塩素)は10,000円(1式)、特殊清掃(床下)は30,000円、床解体(廃材処理含む)は15,000円(1式)、床下防臭剤下地塗布は10,000円(1式)、特殊清掃代小計は155,000円、現状回復工事(一式)で578,000円となり小計は733,000円に消費税(10%)73,300円を足して総額806,300円になります。
この事例は、階下の住居まで汚染が広がっていた状態で、どちらも合わせて原状復帰された事例の費用総額となります。
亡くなってから早期発見した場合や、フローリングに体液がしみこんでいない、現状回復工事が不要になると料金は安くなります。
そのため孤独死を発見したら早めに業者に依頼することをおすすめします。
◇死後2ヶ月で発見された現場
遺品整理(ルームクリーニング代込)は110,000円、特殊清掃(消毒作業込)は20,000円、オゾン脱臭作業(3日間)は50,000円、原状回復工事(一式)は255,200円で小計435,200円となり、これに消費税(10%)の43,520円を加算して合計478,720円になります。
この事例では、カーペットや壁紙・エアコンなどをすべて撤去した後、カーペットをクッションフロアに張替えする工事なども行っています。
孤独死のときの特殊清掃現場の清掃作業はどうすべき?まとめ

孤独死などの特殊な脂肪をされた方の部屋の清掃作業を業者へ依頼するときの注意点や、必要な費用などについて紹介してきました。
また、入室はできるだけ避けるべきですが、入室するときはどのような服装や道具が必要なのかを紹介してきました。
もし、身内が孤独死で亡くなってから部屋の清掃が必要になったときは、こちらの情報を参考にしてください。
ただ今、お電話すぐに対応いたします。







