人が亡くなった後の匂いはとてもこの世のものとは思えないほど悪臭です。
そんな匂いを取るには素人がいくら消臭作業を行ってもとれません。
そこで、特殊清掃業者というものがあり、匂い取りのプロがいます。
特殊清掃業者が使う薬剤は市販されていない特殊なものでどんな悪臭でもきれいに取り除いてくれます。
今から特殊清掃を依頼したときにどのくらいの費用が掛かり、どのような消臭作業が行われるのかを詳しく見てみましょう。
特殊清掃で取れる悪臭

特殊清掃でしか消せない匂いは、大きく分けて3つあります。
その3つについて詳しく見てみましょう。
特殊清掃でしか消せない匂い:死臭
死臭
死臭は腐敗臭・腐乱臭と呼ばれていて、匂いの原因は遺体の腐敗によるものです。
人間の体内には、実は常日頃から微生物やバクテリアなどの細菌が潜んでいます。
生きている間は免疫作用が働くことで、これらが増殖しませんが、死亡して免疫作用がなくなると細菌は一気に増殖します。
増殖した細菌が遺体を分解し始めてから腐敗が始まり、それと同時に死臭とよばれるガスが発生します。
死臭(腐敗臭)は、一般に、夏場であれば死後2~3日、冬場でも5~7日程度で発生するのが一般的です。
ただし、亡くなった人の体質や部屋の環境によっては腐敗の速度はいろいろです。
また冬場でも、暖房が効いた部屋やこたつの中など温度の高い所で孤独死した遺体は早く腐敗が始まることから、死臭の発生も早まります。
死臭はどんな匂い?
死臭は、たとえていえばクサヤやチーズ、生ゴミが腐敗したような匂いです。
クサヤとは、魚の干物の一種で、普通の干物は乾燥させるだけですがクサヤは発酵させてあります。
大豆を発酵させた納豆に臭みがあるのと同じで、クサヤは普通の干物より非常に臭います。
名前にまでなっているほどクサいものです。
死臭は、そのクサヤが腐敗して臭気が数倍、数十倍になったような匂いと思っておくと良いでしょう。
匂いのレベルは遺体の状況にもよりますが、人間の体は当たり前ですがクサヤやチーズ、生ゴミよりはるかに大きい生き物で、今までに嗅いだことがないほどの悪臭といっていいでしょう。
特殊清掃でしか消せない匂い:ゴミ屋敷
生ゴミ臭
ゴミ屋敷と聞いて、真っ先に思い浮かぶのが生ゴミ臭でしょう。
どんな匂いかというと、たとえば弁当の食べ残しを1ヶ月放置した匂いを想像してください。
それはやがて腐りだし生ゴミ臭(腐敗臭)を発生させます。
この匂いは、食べ残し自体から発生するのではなく、そこに繁殖した微生物がゴミを分解する過程で出す排出物、化学反応で発生するガスなどの匂いです。
ゴミの山を処理しても匂いがなくならないのは、この生ゴミ臭が壁や天井にまで染みついてしまうからです。
匂いの粒子が部屋中に蔓延して、壁からも、天井からも悪臭がする状態になっています。
この状態になると、特殊清掃の専門的な消臭作業をしないと完全消臭はできません。
カビ臭
ゴミ屋敷には、生ゴミ臭に加えカビ臭も匂っています。
ゴミを溜めるような部屋だと、洗面所や風呂、トイレなどカビの繁殖しやすい水回りの手入れがされていないからです。
洗面所・風呂場までゴミ置き場と化してしまっている部屋などもあります。
カビは、繁殖するときに老廃物が出て、臭いを大量に放ちます。
水回りを長期間手入れしないでいると、カビが発生して匂いが取れなくなってから、進行すれば使うことすらできない状態になります。
放置し続けるとカビはどんどん増殖して、やがて、窓枠、壁、天井と範囲を広げ、部屋中に青臭いカビ臭がするようになります。
特殊清掃では、繁殖したカビ臭を完全除臭する上に、カビや汚れで使用できなくなった配水管のトラブルにも対応しています。
アンモニア臭
ゴミ屋敷には、鼻を刺激するアンモニア臭が漂います。
トイレ掃除をしていないので、尿石と呼ばれる、尿に含まれる成分が便器にこびりついて、悪臭が出てとれなくなります。
また、アンモニア臭はトイレだけでなく、長く洗っていない衣服やタオル、ベッドのシーツからも放出されます。
汗や加齢臭が布に染み付いてしまうと、尿と同じようなアンモニア臭が発生します。
特殊清掃では、このようなアンモニア臭を消すために複数の薬品を試して、原因に合った対処方法で匂いを除去していきます。
特殊清掃でしか消せない匂い:犬猫屋敷
犬や猫を多頭飼いしていて、長期に渡り世話を怠っていた所謂犬猫屋敷の匂いは、特殊清掃をしない限り消せない除臭難易度の高い悪臭になります。
犬猫屋敷はゴミ屋敷と同じように汚れきっていることがほとんどですが、ゴミ屋敷以上にひどいのは、ゴミを取り除いても、床面や壁面がボロボロな状態で、床に撒き散らした糞尿が広範囲に染みついているところです。
子犬や子猫の死体に遭遇することもある犬猫屋敷の消臭作業では、到底自力や一般のハウスクリーニングで解決できるものではありません。
特殊清掃では、犬猫屋敷の原状回復に対して、専門的な除臭作業を行い、それでも厳しい場合はリフォームや解体なども請け負います。
なぜ特殊清掃は特殊な匂いを除去できるの?

特殊清掃はなぜ自力やハウスクリーニングで除去できない特殊な匂いに対応できるのでしょうか。
死臭(腐敗臭)にも対応する薬剤
特殊な匂いに対応できる最大の理由は、死臭(腐敗臭)を消し去る薬剤を使えることです。
死臭(腐敗臭)は、人間の遺体や動物の死体が腐敗して漏れ出た体液から発生します。
一言で体液といっても、成分は皮脂、血液、排泄物などが混合しています。
匂いを消し去るには汚染箇所の洗浄が最初に必要ですが、体液は、一般的な洗剤では落としきれません。
肉眼で見て汚れがとれたように見えたとしても、実は目に見えない匂いの分子が部屋中に拡散していて、壁や天井、床などいろいろな場所に付着しています。
自力やハウスクリーニングの清掃では、付着した匂い分子によって、数日後に匂い戻りというものが起きます。
完全除去はできないのです。
特殊清掃では、死臭(腐敗臭)にも対応する業務用の薬剤、さらにはオゾン脱臭器という匂いの分子をオゾンの力で分解して無臭化させる専門の機材を使って短時間に匂いを消し去れます。
害虫や害獣を駆除
特殊清掃では、特殊な匂いを絶つために害虫や害獣駆除まで行います。
腐敗臭は、ひどくなるとハエやウジの大量発生の原因になります。
人や動物が死亡すると細菌が増殖して、それらが遺体を分解する過程で発生するのが腐敗臭になりますが、腐敗が進むと匂いを嗅いで、ハエやウジなどの害虫が湧いてきます。
害虫は腐敗している場所に卵を産みつけて増殖して、さらなる悪臭を生み出してしまう悪循環が起こります。
また部屋に食品が残っている部屋では、ゴキブリやネズミなどの害獣が発生することもよくあります。
害獣も悪臭の原因です。
こうした害虫・害獣は人目につかない細かい隙間などに入り込みます。
たとえば、畳の部屋があれば、畳受け(畳を上げた時に見える板状の面)などに隠れています。
素人の清掃で退治したつもりが1匹でも生息していれば、やがて繁殖してしまい悪臭の原因になる可能性があります。
特殊清掃では、駆除剤を撒いて、こうした害虫・害獣を徹底的に駆除して匂いを絶てます。
解体やリフォームもできる
特殊清掃では、しっかりした知識と経験の元、匂いを絶つために解体やリフォームも行必要な時があります。
体液が床や畳に染みこんで床材まで腐敗してしまった場合、強く濃く染みついた死臭はどんな方法で脱臭しても除去できないので、リフォームや解体が必要です。
ただ、むやみに壊せばいいというのではなく、匂いの元を知り、再発生を防ぐことや費用面も考えた適切な判断が求められますが、その作業ができるのが特殊清掃業者です。
特殊清掃業者は、特殊な現場を扱ってきた知識と経験を生かして、どこまで解体すべきか?どのようにリフォームを行うべきか?を依頼者に提案して、解体やリフォーム作業を行い、特殊な匂いを根こそぎ排除していきます。
特殊清掃業者の料金の目安

特殊清掃の費用は、部屋の状態によって数万円?100万円以上までと大きな幅があります。
原状回復までの作業を、どこまで行うかによって費用が異なってきます。
業者によっても、間取り別、回収量や作業別、パック料金など、いろいろな料金設定や算出方法があります。
ここでは、間取り別と作業内容別に分けて特殊費用相場を紹介します。
間取り別特殊清掃の費用相場
間取り別の費用相場の例を紹介します。
特殊清掃には決まった費用相場はなく、業者によっても料金設定は違うので、次はあくまでも目安として参考にしてください。
1R・1Kは40,000円?80,000円、1DKは60,000円?120,000円、1LDKは80,000円?200,000円、2DKは110,000円?250,000円、2LDKは120,000円?300,000円、3DKは160,000円?400,000円、3LDKは180,000円?500,000円となります。
金額は作業費に人件費・車両費・回収運搬費・廃棄物処分費をあわせた費用になります。
特殊清掃は間取りのみで料金が決まるのではなく、事項で紹介する作業内容によっても料金が変わります。
作業内容別の特殊清掃費用
脱衣所・トイレ
脱衣所・トイレの特殊清掃費用として次のものがあります。
床下洗コーティングは35,000円?、床の切断作業は35,000円?、洗面所の撤去は15,000円?、トイレのハウスクリーニングは10,000円?となります。
風呂
風呂の特殊清掃費用として次のものがあります。
浴槽の清掃は80,000円?、浴槽の消臭作業は30,000円?、浴槽の消毒作業は15,000円?、風呂のハウスクリーニングは10,000円?となります。
室内
室内の特殊清掃費用として次のものがあります。
床の切断作業は35,000円?、オゾン燻蒸は30,000円~、害虫駆除は10,000円?、汚物撤去は20,000円?となります。
特殊清掃で匂いを消すやり方

それでは特殊清掃業の消臭・脱臭の方法を紹介します。
特殊清掃での悪臭の取り方に決まりはありません、いろいろな業者が独自の方法や薬品・機材を使って、色々な方法で消臭・脱臭を行います。
特殊清掃は亡くなった場所など状況によって消臭・消毒の方法や、薬品・機材が変わります。
特殊な薬剤を噴霧し除菌・消臭
特殊と書きましたが、特殊というよりも企業秘密の薬剤を使います、これはどこの業者でも共通していて使っている薬剤は、市販では売られていない強力な消臭・除菌専用の薬剤になります。
どんな薬剤を使うか、またその薬剤によって消臭・除菌能力に差がでるし、薬剤に添加物を入れて性能を高めたりもするので、公開はできないので特殊となります。
この薬剤を通常の噴霧器より粒子を細かく出せる専用の噴霧器で散布します。
粒子を細かくするのは部屋の隅々まで薬剤を行き届かせ除菌・消臭させるためです。
床・壁・天井などの特殊清掃
空間消臭・除菌の次は、亡くなっていた場所の清掃、壁や天井の特殊清掃をおこないます。
亡くなっていた場所には血液・体液、髪の毛や皮膚がいっぱいついています、これらはタンパク質が主成分なので、タンパク質を溶かして浮かせてくれる特殊な薬品を噴霧します。
そしてブラシなどを使いさらに浮かせ、ウエスなどでふき取ります、この作業を綺麗になるまで何度も繰り返していきます。
血液・体液が除去できたら、部屋全体の床と壁、さらには天井まで薬品を染みこませたウエスや雑巾で拭き掃除をおこないます。
床と壁、天井にも目に見えない血液や体液が付着しているためです、一部分の場所だけ清掃しても完全な消臭・脱臭はできないのできちんとした業者を選びましょう。
最後に水拭きして特殊清掃は完了です。
壁紙やフローリングを剥がして特殊清掃
腐敗が進んでいて、壁紙の下地まで臭いが付いているときや、体液が床下まで染み出しているようなときは、表面の清掃だけでは消臭・脱臭ができないので壁紙を撤去して下地を清掃、フローリングを撤去して床下の清掃をすることもあります。
臭いがかなりきつい場合は、専用の塗料を塗って匂いを封じ込めるコーティング消臭作業をすることもあります。
さらに壁の下地は石膏ボードがよく使われ、石膏ボードは臭いが染み込みやすいため、リフォームをして取り替えます。
フローリングもめくると、元に戻すにはリフォームが必要になるので、特殊清掃に掛かる費用がグンと上がりますが、完全消臭・脱臭のためにお願いしています。
判断はお客がリフォームをするかしないか決めます。
決まれば業者側で専門の技術者にきちんと施工させ、新築レベルまで綺麗にします。
特殊清掃が終わり臭いが残っている場合で、リフォームをする場合もあるのでケースバイケースでの対応になります。
高濃度オゾン脱臭
普通は、消臭・脱臭剤を噴霧し臭いがなくなれば作業は終了ですが、どうしても臭いが取れない場合はオゾン脱臭機を使って消臭・脱臭させます。
オゾンは、3つの酸素原子からなる酸素の同素体で、分子式はO3です。
オゾンはきわめて不安定で反応性が高く、いろいろな物質と反応して、もとの酸素に戻ろうとします。
これを利用して、悪臭のもとになっている物質や、人にとって有害な菌とくっついて分解するのがオゾンの特性です。
分解したあとオゾンは酸素に戻り完全無害化されるので、薬品を使っての消臭・脱臭、殺菌・消毒と比べ圧倒的に効果があり、消臭・脱臭や殺菌・除菌が必要な特殊清掃現場では高濃度のオゾンを使います。
特種清掃業者はなぜ匂いを完全消臭できるの?まとめ

ここまで、特殊清掃業者がなぜ、悪臭を完全除去できるのかについて、使う薬剤や道具、やり方など紹介してきました。
業者と同じことは素人が市販の消臭剤を使ってできません。
業者へ依頼するメリットがありますが、費用はどのくらいかかるのかを知っておかないと依頼時に予算が足りないということになりかねないので、部屋の清掃などで特殊清掃を依頼したときに掛かる費用について紹介してきました。
特殊清掃業者へ依頼する期間があれば、ここで紹介した情報を参考にして依頼先業者選びに役立ててください。
ただ今、お電話すぐに対応いたします。









